第1弾!
国際社会学部モンゴル語科3年
福島黎さん
@ルワンダ:プロテスタント人文・社会科学大学
皆さんにアフリカのことをもっと知っていただくため、アフリカに関係の深い人々にインタビューをしました。第1弾は、ルワンダに留学されている福島さんへのインタビューです。
今回、ルワンダのプロテスタント人文・社会科学大学に留学中の国際社会学部モンゴル語科3年福島黎さんにインタビューさせていただきました。皆さんはルワンダという国をご存じですか?東アフリカの内陸部に位置するルワンダですが「ツチ族」と「フツ族」の対立によって「20世紀最大の悲劇の一つ」といわれるジェノサイドを引き起こしたという過去があることでご存じの方もいるかもしれません。しかし現在では特にITの分野を中心にアフリカの奇跡」と呼ばれるほどの急成長を遂げている国でもあります。光と影が存在するこの国でどのような留学生活をおくっているのか、福島さんに伺いました。
──はじめにルワンダでの現在の生活について伺わせていただきたいと思います。
ルワンダに渡航されて三か月ほどたちますが生活には慣れてきましたか?
そうですね。だいぶ慣れました。
──今住まれているところはどういう場所なんですか?今インタビューを受けられている場所は福島さんのお部屋ですか?
そうですね。ここは僕のリビングです。
──セキュリティーは?
皆無ですね。
──皆無!?
いやこれはほんとびっくりしたんですけど、洗濯手洗いなんででっかいバケツを買ったんですよ。で、バケツを玄関のすぐ横に置い てたんですよね。一応道路からここに入ってくるまでは門もあるし門番もいるんですけど、そのバケツが盗まれました。
──バケツも盗まれちゃうんですね。そんなこともあるんですね。
まさか盗まれるとは思わないじゃないですか。敷地内ですよ。でも、結構普通らしいですね。周りの人に「いや盗まれたんだよ。」とか言うと。「だから外に置くなっていったじゃん。」とか言われたりして。
──現地に住まないとできない貴重な体験といえるかもしれませんね。(笑)
まさかと思うじゃないですか。いやーびっくりしました。
──アフリカ専攻の担当教員がフィールドワーク中に泊まっていた小屋は窓ガラスが無く、木の扉が窓に付いていたとお聞きしたのです が、福島さんのお部屋には窓ガラスはありますか?
窓はガラスですね。
──ルワンダで生活する中で日本とは違うと思う点などあれば教えていただきたいです。
そうですね。機械類は日本と比べてほぼないので日常で使うような例えば冷蔵庫、掃除機、洗濯機、そういうのが全部手動でやらなければならないというのは大変ですね。
──冷蔵庫がないということは買ってきてすぐ調理しなければならないということですか?
そうですね。お肉などは買った日に食べないとすぐ腐ります(笑)
──そこはやっぱり日本にいる時とは大きな違いですよね(笑)
逆に日本にいる時と変わらない点などはあったりしますか?
あまりないですね。あるのかもしれないけれど目が行っていないのかもしれない(笑)
──日本とルワンダの生活は大きく違うということをおっしゃっていただいたんですけど、それはルワンダの生活が不便だということですか?
いや全部が不便というわけではないです。日本に比べてファンタが美味しい(笑)
炭酸ジュースの炭酸は日本より強い。コーラも強いと思いますよ。
──具体的に学校がある日の一日の流れを教えていただけますか?
はい。まず午前中に授業がある日と午後に授業ある日で分かれていて、授業が午前中の日は8時半から12時半まで、午後の日は夕方2時から5時まであります。外大のように一日に何個かコマがあるとかではなく、夏期講習や冬期講習みたいに集中的に一個の授業を受けていくという形態です。
──それは日本とルワンダの学校制度の違いに起因するものなのでしょうか?
詳しくはわからないんですけど多分ルワンダ全体で共通だと思いますね。
ルワンダの人は時間にルーズなので毎週やるのは合わないのではないかと(笑)
──なるほど。そういうところもあるのですね。
──大学の忙しさはどのくらいですか?
先生にもよりますがプレゼンの準備があると大変です。
──授業の形態はどのような感じですか?
どの授業も一日一回ぐらいはグループワークして発表みたいな感じですね。
ずっと講義というわけではないです。
──授業での日本の学生とルワンダの学生での違いは感じられますか?また、そこから学ぶ刺激などあれば教えてください。
そうですね。違いとしては、やっぱりみんなすごく積極的に発言するので、そこは僕も見習っていかないといけないなと思いますね。あとは、みんな電話とか掛かってきたら普通に教室から出ていきますね。日本だったらあんまりそういうことはしないじゃないですか。みんな普通に外に出ていきますね。
──自由ですね。授業以外の日常生活でもそういう自由さを感じますか?
そうですね。結構みんな電話は(笑)日本だったら、みんなで遊んでたりしたらよっぽどの重要な電話じゃない限りでなかったりするじゃないですか、礼儀として。でもこっちの人は出ますね。
──陽気ですね。
日本だったら電話ってほぼしなくないですか。こっちではまだまだ電話が主流というか。
──スマホを持っていても電話をするということですか?
スマホで電話してますみんな。
──LINEやInstagramのDMなどはあまりしない感じなんですか?
What’s upも使ってるんですよみんな。でもまだまだ電話もしてる人多いですね。
──そういう直接話す体験を重視する文化がまだ残っているんですね。ルワンダにはITが進んでいるというイメージがあるのですが、そういう面もありつつ直接話すことを大切にされていることもあるということなんですか?
そうですね。ITが進んでいると言われていますが、日本とかの方がそれはもちろん進んでるなと思いますし。ITを使える人もいれば、スマホを持たないで昔のガラケーみたいな折りたたまない携帯、そういうのをお金ない人は使ってますね。
ITでいえば、モバイルマネーは普及してます。
──PayPayみたいな感じですか?
そうですね。QRコードじゃないんですけど、番号を入力して、そしたら自分の口座から多分送金されてるんだと思うんですけど、それは結構日本よりも普及してるかもしれない。地方のどこのお店でもあります。
──そこはやっぱり進んでるんですね。それってスマホ持ってる人じゃないと使えない感じですか?
いや、多分電話があればできるんだと思います。
──そしたらそこでの格差はないんですか?
そうですね。
──アフリカに興味をもって留学するまでについて伺わせていただきたいです。
──福島さんはモンゴル語科の1年生として大学に入学されたとお伺いしましたがアフリカに興味を持たれたのは大学生になってからでしょうか?
そうですね。大学入学後ですね。
──どのようなきっかけがありましたか?
元々発展途上国の開発学などに興味があったんですが、大学に入学してアフリカ関係の授業などを取っていく中でアフリカ面白いなと思って。その時はまだ行ったことなかったですし、その中で留学できるということを聞いて色々調べだしてさらに興味を持っていったという感じです。
──アフリカの授業を取るきっかけなどはありましたか?
元々発展途上国に興味があって、東南アジアというよりはアフリカに興味があって、授業を取るようにしていました。>
──なぜモンゴルやその周辺地域ではなくアフリカに留学するという決断をされたのですか?
一番は英語を使いたかったということがあると思います。
──PIASS(プロテスタント人文・社会科学大学)での授業は全部英語ですか?
そうですね。基本英語ですね。他のアフリカからの留学生もいますし、みんなルワンダ語が分かるわけでないので。
──共通言語が英語ということですね。アフリカを学ぶ前というのはアフリカに対してどういうイメージを持たれていましたか?発展途上国に興味がおありだったとおっしゃっていましたがアフリカを学ぶ前と今でそのイメージに変化は生まれましたか?
そうですね。日本にいるときは発展途上国として勉強をすることが多かったので、漠然と多くの人が思うような貧困などのイメージを持っていたと思います。それでも実態はよくわからないという感じだったんですけど、こっちに来たらストリートチルドレンとか貧富の差とか言葉は通じないながらも、日本にいたときよりもリアルにそのような問題を実感していますね。
──実際に行ったことでアフリカにある問題がより具体化されて見えるようになってきたという感じなんですね。
──コロナ禍ということもあり留学は家族などからの反対や大変な点などはありませんでしたか?
家族などからの反対というのは特にありませんでしたね。
ただ、コロナ禍での準備などが大変でしたね。急に留学が決まったこと、特にアフリカ行くにあたってワクチンなどを打たなくてはいけなかったのでそのような準備は大変でした。
──ご自身の中でアフリカ行くことに不安はありませんでしたか?
特になかったですね。むしろ楽しみの方が大きかったと思います。
──友達などにアフリカに行くという話をしたら何か反応はありましたか?
それは腐るほどありました。やっぱり珍しいじゃないですか。だから反応は大きかったですね。
──日本のメディアは「アフリカは発展途上国で貧しいが、今急速に発展していっている」というイメージしか作っていないということを学んだのですが、実際にアフリカで生活されてそれ以外のイメージは加わりましたか?
人はとにかく優しいということですね。ただ日本人や外国人などはお金を持っていると思われるので、街に出ていくと声かけられて例えばタクシーの運転手とかマーケットとか行くといろいろ誘われますね。
──アフリカの外から来る人は珍しいですか?
そうですね。まだ首都などは行ったことないので分からないですがアフリカ系以外の人はあまり見ないですね。そしてこちらではアジア人も白人だと思われるんですよね。
──人種による差別などは感じたりしますか?
人種差別というより白人はお金持っているという目で見られます。
──最近YouTubeを始められたとお聞きしました。(※https://m.youtube.com/channel/UCYBRcxNoY_xNC69kvX5i54Q)私たちも拝見させていただいてアフリカでの生活の身近な一面を動画の中で取り上げられていてとても興味を惹かれました。このような活動は留学前からやると決められていましたか?
いやいや。行った後です。仲が良い人たちとzoomで喋る機会に「外見せて」ということになり、外に出て中継した際に「YouTubeも始めれば」と言われ投稿し始めたというわけです。
──その友達は日本にいる友達ですか?
そうですね。日本にいる外大の友達です。
──YouTubeでの動画投稿を通して伝えたいことはありますか?
自分が来る前も情報を調べたんですがあまりヒットしないので、動画を通してアフリカの日常を少しでも伝えられたらいいかなと思います。
──動画を通してアフリカを知ってもらいたいという思いもあるのですね。
──授業などで日本人としての考えなど聞かれたりしますか?
そうですね。聞かれることもありますね。例えば日本だと銃は禁止されているじゃないですか。でもアフリカだとそうではない国もあったりして。色んな留学生が来ているので、国による違いがある時、「君の国はどうなの?」みたいなことを先生に聞かれることはあります。
── これからについて
──留学を通して経験してみたいことはありますか?
なんでもやってみたいです。本当に一生に一度来るか来ないかだと思っているので、できる限りのことをしたいと思っています。これは自分のモットーではないですが、誘われたらなるべく断らないようにしようということですね。日本なら、面倒臭いから今日はいいやと思ってしまうのですが(笑)こっちではせっかく誘ってくれたのだからやってみようという気持ちになりますね。
──ルワンダ以外にアフリカの国々の中で訪れたい場所はありますか?
そうですね。いろんなところに旅行で行ってみたいです。もちろんコロナもあるのでどうなるかわかんないですけど、サファリは一回は行きたいですね。僕ライオン見たいので、男として。野生のライオン見たいですね。
──ケニアとかありますよね。
ケニアとか行きたいですね。帰るときに寄って帰ろうかなと思っています。そんなに飛行機の値段変わらないんですよ、何カ所か寄っても。
──その様子もYouTubeで発信していただけたら嬉しいです。
タンザニアにも行ってみたいですね。キリマンジャロに登りたいんですよ。一個の夢というか、アフリカに来たらやってみたいことの一つがキリマンジャロに登る事だったんです。こういうことは若いうちしかできないと思うので。
──今しかできないことをアフリカで体験してみたいということですね。
そうですね。
──これからの抱負をお伺いしたいです。
今勉強しているのが、平和をメインでやっているので、結構アフリカってまだ紛争があったりとか、この間もエチオピアで反政府軍と政府軍の衝突とかあったんですね。そういうことを、日本にいたらあまり関わらないアフリカの人達と一緒に勉強できる分、色んな観点で物事が見れると思うので、色々なものを吸収していきたいなと思いますね。それとこっちに来ると、日本人が少ないので、日本人である事を事あるごとに意識するというか。ああ自分日本人なんだなって思うんですね。日本は原爆を経験していることもあって他の国とは違うバックグラウンドもありますし、戦争も経験していますよね。それも踏まえ、日本人だからこそできるというところも頭に置きつつ勉強していきたいなと思います。
──最後今回アフリカンウィークスのテーマが共有ということで一枚写真を「共有」していただきました。こちらの写真について説明していただいてよろしいですか?
そうですね。これは、ルワンダの新しい家に引っ越してきて、ベッドが必要で、作ってもらうように頼んだ人の工場に、完成したベッドを引き取りに行った時に出会った子どもたちなんです。右がファブリスという僕の友達で、色々家具とか買うの手伝ってくれて、引き取りにも来てくれたんですよ。この子達はその工場で働いている人の子どもで、この子達は英語は喋れなかったんですが、ファブリスが通訳してくれました。最初は多分怖がってたと思うんですが、少し遊んだりして仲良くなって、ファブリスと話してお腹すいてるだろうからって言って、近くのコンビニみたいなところでお菓子を買ってあげて一緒に食べて……。その時に写真をとりました。
実際にこの子達にお金を求められたわけではなく、ストリートチルドレンでもないのですが、ルワンダに行って一か月と間もなく、僕にとってはストリートチルドレンの問題を特に強烈に感じていた時に一緒に遊んだ現地の子どもたちとの写真だったので、いろいろ考えさせられた印象深い一枚としてこれを選びました。
ストリートチルドレンは英語で「金くれ」「Give me money.」っていうフレーズだけ覚えて寄ってきてるんですよ。それ以外に例えば「何に使うの?」とか英語で聞いても分かってないから答えられない。そのもらったお金も何に使うかわからない。本当にその子たちが使っているのかさえも分からない。シンナーとかをそのお金でやる人も多いらしいんですね。お金をあげ始めたらきりがないし、多分そういう噂はすぐ広まるんで。現地の人も「そんなにあげない方がいいよ」みたいな感じなのでほぼあげないというのが実情です。
──ルワンダではピースのやり方違うんですね
そうですね。なんでなんですかね(笑)
──これから色んな体験をして、是非ルワンダから帰国された際にはもう一度お話を伺えればと思います。本日はありがとうございました。